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最近の不妊カウンセリング事例3つ紹介します:女性、男性、カップル

生殖心理カウンセラーの小倉です。

「コロナ禍」もそろそろ使われなくなってきましたね。

コロナ感染がそれなりにコントロールできるようになり、社会が動くとまた生殖に関する動きも変化してきました。

今回はこの1年で行ったカウンセリングで紹介したい事例をお伝えします。

★★★事例なので、個別のカウンセリングを特定しているものではありません。特徴的な悩みや相談は紹介しますが、複数の事例(事実)をまとめ、それをわかりやすいようにアレンジしています。

「事例」であって「事実」ではないのでご了承ください。

目次

女性のカウンセリング:不妊治療をいつまで続ければよいのか?

ガーベラ不妊相談室でのカウンセリングの相談者の9割は女性です。
不妊治療を続けるのもやめるのも最終的には女性の決断になることが多いので
こういった相談は20年前からもありますが、
最近は不妊治療中の辛さよりもやめどきの相談が多いです。

クライエント情報

43歳女性。正社員。
夫は45歳。
結婚したのが39歳。
最初の1年はゆるく妊活をしており、
子供ができないかもしれないと思ったが
後悔しないように不妊治療を始めた。
夫婦ともに不妊の原因は特にないため、すぐに体外受精をした方がよいと言われ、
体外受精をするも、現在までに子供は授かっていない。
3回採卵し、8回移植、そのうち1回は8週目で流産となり、
1回は妊娠反応はでたものの妊娠継続とならなかった。

一度妊娠してから急に子供が欲しくなり、
それ以来、次こそは!と思って治療に臨んだが結果がでていない。
頭ではもう難しいことがわかっているが
医師から可能性はゼロではない、と言われると次の採卵に期待をしてしまう。

悩みの内容

当初は治療は43歳になったらやめる、と決めていたのにやめる決断ができない。
どうすればやめることができるのか?

やめたほうがいいとわかっているが
もしかすると次で妊娠、出産できるかもしれないと思うと
続けたい気持ちがあるものの、
強い気持ちで治療に進めないことで妊娠しない原因になっているとも感じる。

カウンセリングでは

やめたいのにやめられない。
それはなぜでしょう?

子供を望んでいるから!ですよね。

では、どうして子供を望んでいるのでしょう?
これは「生殖物語」を相談者に語っていただくことになります。

そうするとぼんやりしていた子供への思いが明確になったり、
あるいは強く望むわけでもないことに気づいたり。

次に、不妊治療のシステム上、やめるのがとても難しいことも理解していただきます。
医師との会話はとても短いことが多いですよね。
その中で決断することは難しい。
加えて、夫婦の決断を迫られているのに、
医師と相談するのは女性のみが多く、
これが決断を難しくさせています。

かといって、平日に男性が施設に行くのは難しく、
土日は激混み。
女性だって、平日仕事を休んで通っているのに
そこはあまり理解されたり、ねぎらわれることも少ない・・・
ストレスがたまり、
夫婦のコミュニケーションもぎくしゃくする。
という悪循環も生みやすい。

それが余計に治療をやめる、もしくは続けることを決意する難しさになっています。

夫婦、カップルのコミュニケーションを伺うことで
どのように夫婦で決断し、最終的に女性が決断できるかをカウンセリングでは検討します。

カップルでカウンセリング:不妊治療がしんどそうな妻をどうにか楽にしてあげたい夫

最近はカップルでカウンセリングを受けられる方が増えています!
とても良いことですし
効率が良いです。
なぜなら、不妊はカップルの問題なので
カップルでカウンセリングを受ければ
解決が難しいことであっても
納得のできる時間をカップルですごすことができるからです。

クライエント情報

35歳女性。パートタイム勤務
35歳男性。会社員
30歳で結婚し、そのうち子供ができるだろうと思ったがなかなかできないので
病院に行ったところ、妻のAMH値が低めで早く体外受精をした方がよいとのこと。

体外受精をすればすぐに子供ができると思ったが、
なかなかできない。
また、妻は治療が体的にも精神的にもつらく、
休み休み行っているので治療を始めて3年たった。

夫としては早く治療しないとだんだん子供が授かりにくくなると焦る一方、
辛そうにしている妻に治療に行くように言うことはできない。

妻も夫が子供を望んでいることはよくわかっているし
自分も早く子供が欲しいが
採卵時の副作用や痛みがつらく、
こんなに辛いのに妊娠できず悲しいし、
治療を休んでいる間はいろいろ解放され、
楽しい気持ちになるものの罪悪感もあり、
治療に戻ると重い気持ちになるの繰り返しで疲れ切っている。

悩みの内容

妻がつらい思いをしているのはわかっているがどうすればよいかわからないので
アドバイスが欲しい夫。

治療を前向きにできればもっと楽になると思うので
どうすればいいのか知りたい妻。

カウンセリングでは

カップルでカウンセリングにくるくらい、
夫婦のコミュニケーションはよさそうです。

ただ、不妊治療という経験したことのない辛さに
二人は途方にくれているわけです。

ここでは
①夫婦の生殖物語をそれぞれ語ってもらう
②妻はどうしてもらえれば楽になるのか、カウンセラーを通じて検討し夫に伝え、それが夫が実行可能なことかどうかも検証する
③「前向き」であることにこだわることはなく、夫婦らしい決断なのか、妻らしい決断であるかで
治療の取り組み方が変わる。生殖物語を思い出すことも治療の取り組む気持ちが変わるかもしれない

などを話します。

カップルカウンセリングの一番のメリットは
第三者を介することで
カップルのコミュニケーションがとてもスムーズになることです。

勇気のいる選択肢かもしれませんが、
夫婦が一緒に何かをする、ということは
「夫婦力」を高めることになります。

男性のカウンセリング:男性も子供が欲しい

20年前は男性が一人でカウンセリングを受けることはほとんどありませんでした。
最近は男性が一人で自分が子供が欲しい思いを相談に来る件数が増えました!
カウンセリングの敷居が低くなったことと、
男性も誰かに相談することを
昭和時代のような「恥ずかしい」「弱い」ことと
思わなくなり
むしろ専門家に聞くのが一番合理的、効率的、と認識してくださるようになったからと推測します。

私が女性なので、女性目線となりがちですが、どうぞ男性の皆様も「専門家」に相談するという選択肢をご検討ください!

クライエント情報

32歳男性。自営業。
妻は33歳。自営業を一緒に行っている。
結婚して1年たつが妊娠しない。
不妊治療をした方がよいと感じながらも妻は焦っていない様子。
自分の友人は早くに結婚し子供がいる人も多く、自分も早くその仲間入りをしたいこともあり
焦りを感じている。
兄がおり、結婚しているがまだ子供はいない。
兄夫婦をみていると幸せそうではあるが、両親が孫を期待していることも感じており、
その思いもあって早く子供が欲しいと思っている。

悩みの内容

どうすれば妻は妊活に真剣になってくれるだろうか?

自分だけでも精液検査を受けたほうがよいだろうか?

カウンセリングでは

男性の場合、対処法を知りたい、アドバイスを求めることが多いです。

女性はただ自分の思いを聞いてほしい、という方もいますが
男性の場合はまずは情報、具体的な対処法、を知ることで安心することが多いようです。

ですから、

どうすれば妻が妊活に真剣になってくれるのか?

という問いには

どうすればあなた(相談者)は妻が真剣になってくれると思いますか?

という返事をしてみます。

そうすると、わからないからカウンセリングに来たんだ、という答えだった場合、

「わからない」ことになにか問題があるかもしれない。
夫婦となって1年以上一緒に暮らしているが、「わからない」状態であることを
対処する必要がある、とお伝えします。

つまり、妻のことを知っているようで知らない可能性があるわけです。
妻のことを知ろうとしない上に子供を早く作ろう!と言われても
妻としては言われたとおりに行動するのは難しいかもしれません。

あるいは
「実は妻は子供をそれほど欲しがっていないかもしれない」
という答えだった場合。
それについてカウンセリングで深める可能性があります。
結局、妻はカウンセリングの場にはいないので、
夫がどう思っているのかを妻にどれだけ伝えることができるのか、
がカウンセリングではポイントになります。

その際に、男性だけでも精液検査を行えば
妻に夫の子供への期待、思い、焦りも伝わる可能性もあります。
もしくは、妻の性格によってはその行動がプレッシャーになり、
ますます妊活に消極的になる可能性も伝えます。

ここでも、夫婦のコミュニケーションの重要性を伝え、
加えて夫の気持ちも尊重し、
思い通りに行ってほしいのなら、
まず自分の思いを相手に伝える、
そして相手の気持ちを丁寧に聞き、それを尊重する、
最終的に二人の気持ちの妥協点をみつけることができれば
それなりに思い通りの、少なくとも納得のいく展開があり得る、と話します。

相手の気持ちを尊重することができれば
相手のことをより知ることができるのです。

どんな相談も対応します

妊活、不妊、養子・里子、提供精子、提供卵子、子供のいない人生、選択的シングルマザーなど、様々な相談に対応します。

不妊そのものでなくても

夫婦の問題、
親子の問題、
兄弟間の問題、
職場、知人の問題、

直接不妊とかかわらなくても何かしら
つながっていませんか?

そんな相談も対応します。

気軽に利用するには

10月14日(土)に無料相談を開催しますので
ご利用ください。

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