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体外受精の心理講座:辛い気持ちの対処法

不妊治療の体外受精。これから始める方、すでに治療中の方、もう体外受精の治療を終えた方にもなぜこの治療がこんなに辛いのかを心理学的にお伝えし、その対処法も紹介します。

目次

体外受精による心の負担を理解する

桜:花言葉「高潔」

体外受精の治療方法を理解すること、そしてそれに伴う心理的な負担を説明します。

体外受精とは

藤:花言葉「恋に酔う」

体外受精(IVF)とは、女性の卵巣内から取り出した卵子を体外で受精させる治療のことです。

受精してできた受精卵(胚)は、体外で培養し、ある程度成長させてから、子宮のなかに戻します。

このように、体外で受精を行い、胚を子宮内に移植するまでの一連のプロセスを、正式には「体外受精・胚移植(IVF-ET)」といいます。

タイミング法や人工授精による妊娠が難しい場合に、産婦人科医から体外受精への切り替えを勧められることがあります。

体外受精や顕微授精など、体外で受精を行い、胚を子宮内に移植する技術のことを「生殖補助医療(ART)」といいます。

30歳女性の場合、胚移植による妊娠率は約40%・生産率は約20%です。年齢が5歳上がり、35歳になると、妊娠率は約36%・生産率は約17%と少し下がり、さらに5歳上がって40歳になると、妊娠率は約25%・生産率は約8%となります。

体外受精などの不妊治療を行った場合でも、自然妊娠と同じように年齢とともに妊娠率と生産率が低くなり、流産率は上がります。

引用文献:「体外受精(IVF)とは?費用や確率は?流れやスケジュールは?」リンク参照

体外受精で起こる心の負担

クロッカス:花言葉「切望」

体外受精という治療法の特徴は、通常卵子と精子は子宮(卵管)内、つまり体内、で出会う(受精する)のですが、その受精が体の外、体外で行われることです。

これは自然とは違います。そのため、自然ではないことに抵抗があったり、自然ではないことをするために特に女性の体に多くの負担が強いられます。

体外受精による心の負担の大きな部分はこの「自然ではないこと」です。
そこまでしなくても・・・という思いは多くはここが原因になります。

他に負担になるのは費用、薬の副作用、通院の回数となります。

保険適用が現在検討されていますが、今現在は実費です。体外受精ですと60万前後となりますし、
顕微授精になるとさらに10万程度追加となります。他にも検査費、薬代など含めると、本当に高額です。
助成金がでるにしても、お金の感覚が麻痺しそうな金額ですよね。
これは明らかに心の負担となります。

皆タダで子供授かるのに、どうしてうちだけお金を払わないといけないの?
子供をお金で買うような感覚になるのに抵抗がある、
など、とても複雑な思いがあります。

薬の副作用も女性はとても心配です。
そもそも頭痛や吐き気、倦怠感がある上に、
ホルモン剤を使うわけですから、それは健康な体にどういう影響があるのか?
勿論、説明は受けていますが、100%安心することができない人の方が多いでしょう。
病気だから薬を飲んで健康になる、という薬ではないので、
薬の服用もためらう方は多いです。

あくまで、体外受精は生殖補助医療(生殖補助技術)、というのが、不妊治療に取り組みながらも
なんだかもやもやする部分だと思います。

そして、本当に多くの方が、これもやはり女性が、通院の大変さを語ります。
まずは受診の予約をとることころから大変で、
行っても予約時間通りではないし、
2時間待ちならすいている方、という話もよく聞きますし、
仕事をされている方は半休や時間休みでなんとかやっているが、
スケジュール的にへとへと、
こんな体調で良い卵がとれるのか、
ちゃんと着床するのか、もう不安だらけですよね。

これだけ心の負担になる要因があれば、
それはしんどいに違いありません。

顕微授精特有の気持ち

ルピナス:花言葉「想像力」

顕微授精という不妊治療法があります。

これは体外受精の一つで、簡単に言えば、卵子に針で精子を注入することです。
「体外受精」と言う時は通常シャーレの中に卵子1個と多数の精子を入れて受精を見守ります。
それでも受精しない理由の一つして、卵子の膜を精子が突き破れないから、ということがあり、
顕微授精によって、それが解決されます。
精子が卵子の膜を突き破れなくても、精子のDNAは健康なので、健康なお子さんが生まれます。
詳しくはリンクを参考にしてくださいね。

ここで気になるところは、「誰」がその精子を選ぶかです。
憶に近い精子の中からたった一つを選ぶ。
これは医師や培養士の仕事になります。
選ぶ基準は科学的なデータと患者の状態をきちんと把握して、最も妊娠出産の確率が高いもの、になりますが、
そこに人が関わります。

病気になったから自分にあった薬を調合、手術してもらったと同じ、ととらえる方もいれば、
他人を介して授かった「選ばれた」子供であることを意識するのか。

自然妊娠でも人工授精でも体外受精でも顕微授精でも、
すべて自然の力なしでは出産にいたりません。

妊娠に至る過程は勿論異なります。それでも、そこに運命や縁やタイミングなど
さまざまな複雑な絡み合いがあると思います。

不妊治療そのものを正しく理解し、
自然に湧き上がる疑問や不安を把握し、
その心配や不安は対処できるものなのか、
あるいは、自分の価値観とは違うものなのか、
を検討することがとても大事になります。

顕微授精特有の心理についても知っていただけると、
これから治療される方、
治療中の方、
顕微授精でお子さんを授かった方の参考になると思います。


体外受精による心の負担の対処法

たんぽぽ:花言葉「再会の夢」

上記したように体外受精を行うことで発生する心の負担は

①自然ではないこと(顕微授精の精子を選ぶ、も含む)
②費用
③薬の副作用
④通院の回数(予定がたたない)

が挙げられます。

それぞれ小さな対処法はあると思います。
貯金する、一番副作用の少ない薬を選ぶ、通院の少ない病院を選ぶ、など。

でも、そういう対処法を見つけることすら、疲れ切っているとできないものです。
そこで、もっと根本的な対処法をお伝えします。

対処法①生殖物語

ローズマリー:花言葉「思い出」

生殖物語はなんどもこのブログででてきていますね。
(詳しくはリンクを参考にしてください)

なぜこんなに大変な体外受精をするのか?
それは子供が欲しいから。
なぜ子供が欲しいのか?
それは・・・
人それぞれです。

結婚したら次は子供、っていう程度です
子供を産むために結婚しました
子育てして自分も成長したいから
子供は好きではないけど、自分の子供ならかわいいと思うから

などなど、
なんでもいいのです。正解な理由なんてありませんから。

大事なのは、その理由を自分で確認して、
そのために私(達)は体外受精をする、しない、
の判断基準にすることです。
そうすれば、不安や心配や焦りは必要以上に大きくなりません。

勿論、その作業は10分程度で終わるようなものではなく、
1週間、1か月、数か月、数年、単位のこともあります。
でも、その時間を必要とするのなら
それくらい時間をかけて(子供が欲しい理由が変わることも多々あるので)
自分にとって子供の存在を確かめつつ、
体外受精という治療に取り組むことで、心の負担は最小限に抑えられます。

対処法②カップルのコミュニケーション

ボタン:花言葉「王者の風格」

生殖物語については確認できました、
となると、次はカップルのコミュニケーションがうまくいっているかどうかで、
それぞれの心の負担は変わってきます。

なぜかというと、子供を授かるにはカップルでないと授からないからです。
男性の精子と女性の卵子がないと授からないので、
体外受精をするにも、このカップルのコミュニケーションが必要です。
(カップルでなくても子供を授かることはできますが、その話はまた別の機会にしますね)

前述したように、体外受精は本当に女性の負担が大きいです。
私の個人的な印象では、9割は女性負担!!
でも、仕方ないのです。子供を産めるのは女性だけですから。

ただ、この9割負担は体の話であって、心の負担も9割の必要はないのです。
心の負担は男女で5割程度にできるのなら、
そのカップルはコミュニケーションが「うまく」とれているし、
体外受精をするにおいても、多くのストレスがあるにしても
乗り越えることができるでしょう。

ではどうやって、心を5割負担にできるのか?
それは、お互いを理解しようと「しない」こと。
そして、取り組んで欲しいのは、お互いを「知る」こと。

理解する、というのは、相手の価値観や考え方も共感できることです。
これは、なかなか難しいです。
それは育った背景は違うし、そもそも男女という性別だけですでに共感できないことが多々あるから。
勿論、理解しあっている素敵なカップルもたくさんいらっしゃいます!
でも、それは最初からそうだったわけではなく、
色々な経験、時間を経てそうなったのだと思います。

不妊治療中は、まさにその、お互いを理解しあうための時間であるともいえます。
でも、治療真っ最中は、理解しようとすると疲れ切ってしまうので、
相手を「知る」にとどめることがコツになります。

つまり、相手が何をどう考えている、思っている、を「知る」だけでよくて、
それに共感や賛同する必要はないのです。だだし、相手を批判もしない、が条件ですが。

「私は体外受精は42歳の誕生日までは続けたいと思うけど、
あなたは今年いっぱいで終わりにしたい、ということね。わかった」
「僕は子供は一人いれば十分と思うけど、君は二人欲しいと思っているんだね。了解です」
のようなやりとりが大切です。
すこし冷たいような印象もありますが、それはお互いを尊重しているということでもあります。
勿論、この会話の根底には今はお互いの考え方を保留にしておいて、
いずれどうするか決定しないといけないよね、というものがありますが、
日ごろからお互いの考えを知っていると、
カップルでの意思決定は比較的スムーズになります。


相手のことを知るためにはそれなりに会話の量も必要ですよね。
最近はラインなどで簡単に伝えることもできますが、
もう一つ、コツをお伝えすると、不妊治療などの深刻な話をする場合は
話し合いの時間を10分で終わらせる、というものです。
10分で決められなければ、また明日に10分、次の週末に10分、とすればいいのです。

また、必ずしも何かを決定するわけでなく、
周囲の妊娠や出産に対する思いをちょっと言いたい、
病院での不満や愚痴など言いたいとき、
「10分だけ聞いてもらっていい?」と夫に伝えたり、
「採精のことなんだけど、10分だけ話せるかな」と妻に言ったり。

話さないといけない、でも疲れを感じてしまう内容はあまり長く話さない、
愚痴などこちらが一方的な話はため込まず話すけど、短く切り上げる、
そういうバランスが
体外受精でカップルがそれぞれ心5割負担ができる対処法になります。

対処法③優先順位をコロコロ変えても大丈夫!

勿忘草:花言葉「忘れないで」

生殖物語にも取り組み、カップルでのコミュニケーションも頑張っていれば、優先順位が
コロコロ変わる可能性があります。

目先のことばかり考えて、自分のことだけ考えると意外と優先順位は変わりません。
子供が授かるまでは治療を続ける!
治療が最優先!
でも、これは心の負担をMAXで増加させてしまいます。
出口のないトンネルまっしぐら、ですから。
今や不妊治療は閉経を迎えてもできます。
子供が授かるまで治療するとしたら、どれだけその方の人生の回り道になるのでしょう。

生殖物語を検討し、
夫婦でよいコミュニケーションがとれているからこそ、
優先順位はどんどん変わっていくでしょう。

子供が欲しい→
体外受精まではやってみる→
仕事よりも治療優先→
経済的に体外受精はあと1年→
子供のいる人生を望むから養子縁組も考える→
仕事のキャリアを大事にしたい→
でもやっぱり子供は実子がいい→
夫婦二人で幸せを見つけてみよう、でも自己タイミングで妊活は続けよう

のように。

節目、節目で自分にとって何が一番大事なのかを検討して、
それがコロコロ変わってもいいのです。
その時その時の気持ちを大事にできることも、
心も負担を抑える対処法になります。

対処法④辛い気持ちに備えるために「楽しい気持ち貯金」をする

モッコウバラ:花言葉「初恋」

以上、3つほど対処法を紹介しましたが、
それでも辛いとき、悲しいとき、腹が立つ時、焦るとき、
心の負担はたくさんあります。

そういう負担は避けられないのですが、
少しでも耐えやすくするために「楽しい気持ち貯金」してみてください。

つまり、楽しい!と思う時間を増やすことです。
そうすれば、その間、辛い気持ちではありません。
楽しいだけでなく、おいしい、きれい、気持ちいい、というポジティブ、前向き、と言われる感情です。
そういうものが増えると、辛いと思う時間が減る、というイメージで
小さな喜びを見つけて積み重ねることが「楽しい気持ち貯金」になります。

近所のパン屋さんの前を通って良い香りがしたら
あ~いい匂い~って思うだけでいいのです。
ここで、いい気持ち貯金、チャリン~です。

そうやって自分にとって楽しい、嬉しい感情を意識することが
心の負担軽減にならないにしても、
これから迎えるかもしれない、さらなる心の負担に負けないで(かろうじて)健康でいられるコツになります。


まとめ

ライラック:花言葉「淡い恋心」

体外受精にともなう心の負担と、その対処法についてお伝えしました。

心の負担と言っても、実際は人それぞれですが
一般的に
どうして心の負担が生じるのか、
どうすればその負担をやわらげられるか、
を知っていただければと思います。


いつもお伝えするのは、人生は一度きりです。
後悔することはあってもそれを最小限に抑えることはできますし、
次の後悔を生まないために、今できることを取り組んでいる方は
必ず報われます。

妊活は努力が報われない世界です。
でも、自分の人生を良いものにしよう、自分らしく生きよう、という努力は
必ず実を結びます。それを信じていただければと思います。

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