ブログ

Blog

不妊治療を終える時の3ステップ

不妊治療を妊娠、出産に至らず終える人々の方が割合として多いのです。治療を終えることを検討している方々に参考にしてもらえればと思います。

目次

ステップ1:不妊治療を振り返る

不妊治療を終えたい、終えないといけないのかな、そろそろ終えようかとパートナーが言ってきたとき、まずはこれまでの治療を振りかえってみましょう。

不妊治療を始めた理由

不妊治療を始める理由は、カップルの数ほどあります。

避妊しないで2年程度、性交渉をしてきたけど妊娠しない、
すぐにでも子供が欲しいと思って排卵検査薬を使ってタイミングを取っているけど妊娠しない、
元々生理不順で、なにかしら妊娠しづらいのかな、と予想していた、
女性が40歳になって結婚したが、不妊治療をしないと子供は難しいだろうな、と思って、
などなど。

そういえば、どうい経緯で「不妊治療」を始めたのかしら、
と振り返ることはとても大事です。
同時に、色々と忘れていた出来事や思いもよみがえってきて、
治療の終結を決断するのかしないのか、とてもよいヒントをくれます。

不妊治療を続けた理由

不妊治療を始める際に、
あるいは続けているうちに、不妊の原因が分かったり、
どうにもわからなかったり。

同時進行で不妊仲間が次々に妊娠したり、後から結婚した友人達が出産したり、
気付いたら3人目を妊娠中の妹がいたり・・・・

それでも不妊治療を続けた理由があるのです。
それは何か?
結婚したら子供がいるのが当たり前だから。
普通の生活をしたいから。
こんなに頑張ったんだからご褒美が欲しい、
などなどです。

どんな理由でもいいのです。
その理由をしっかり振り返ることが
不妊治療を終えるか終えないかの判断を促してくれます。

不妊治療を終える理由

不妊治療を始める理由も、続けてきた理由も、思い出しました。

それでも不妊治療を終える理由があります。
それは何か?
年齢?
経済的なこと?
治療の確率が低いから?
夫婦の温度差?

その理由があなたにとって、不妊治療を終えるのに十分なインパクトがあるかないか。
不妊治療を始めたころとは状況はかなり変わっているでしょう。
状況の変化も、不妊治療を終える理由の一つになります。

ステップ2:生殖物語の書き換えを意識的に取り組む

不妊治療を終えるかもしれない、と思ったとき、生殖物語の書き換えをなんとなく、から意識的に取り組んでみることが大事です。

生殖物語とは

生殖物語については
リンクを参照くださいね。

この生殖物語があるから、不妊治療を始めたのだと思います。
不妊治療を終えるにあたっては、その物語を再認識してみましょう。

生殖物語の書き換えとは

不妊を経験すると、この生殖物語は書き換えを必要とします。

たとえば、結婚したら子供、という物語を持っている方には
不妊を経験すると、
「結婚したら子供と思ったが、自然には授からず、不妊治療を受ける必要がある。
それでも子供を望んだので、不妊治療を受けるが、なかなか授からず、子供のいる人生を
送ることができないのかもしれない」
という物語に書き換えを強要されます。

それはとてもとても辛い作業です。
なぜ自分だけ?
本当に不妊治療は必要なの?
パートナーに問題があるんじゃないの?(と、責任から逃れたい気持ちになる)

でも、現実は動きません。
妊娠もしなければ、出産にもいたらない。
それだけでも悲しいのに、
自ら生殖物語を書き換えるなんて・・・

もし、生殖物語の書き換えを少しずつでもできるようになれば、
視野が変化します。
「もしかすると子供のいない人生をおくることになるかもしれない。だからといって私は不幸なのか?
幸せではない、と言えるのか?」
のような、問いかけ、書き換えをすることによって、
子供が欲しいけど子供がいない、
の1点張りから解放され、
人生が少し動く可能性があります。


生殖物語を意識的に書き換えるとは

不妊治療をされている方は、
この生殖物語の書き換えを意識的に、無意識的に、自然と行っている場合があります。

ただ、不妊治療を終えることを検討している場合、
この書き換えを意識的に、
あるいは積極的に行うことができれば
スムーズな気持ちの整理、方向を見つけることができると思います。

そして、書き換えるという認識、ですね。

理想では結婚して子供は二人、お姉ちゃんと弟の4人家族、週末はキャンプに行ったり、
お姉ちゃんにはかわいい髪型をさせてあげたり、
男の子はスポーツの習い事をさせたり。
でも、それが叶わないとなれば、
想像の子供たちを抱きつつ、
夫婦二人の人生を歩むことになるけど、
それなりの幸せを見つけて行こう。
子供がいないからこそできることや、経済的な余裕を十分に楽しもう。
親に孫を見せることはないし、
自分たちに孫はいないけれど、
孫がいることの幸せとは違う幸せを見つけて行こう、

のような物語です。
最初は、全然しっくりこないかもしれません。
こんな物語、自分には要らない、と思うかもしれません。
でも、意識的に書き換える、というのは
頭ではこういう物語を書いたほうがいいとわかっている、
でも、気持ちはそれについていけない、
で、いいのです。

なんどもなんども頭の中で、これでいいんだよね、
これがいいんだよね、
と自分と対話することで、
本当に生殖物語の書き換えが実現します。

生殖物語を意識的に書き換えるためには、
その理由と、
意識が先行し、そのあとに気持ちが追いつく、
ということを理解しておくと良いでしょう。

ステップ3:不妊である自分を受け入れる

不妊であることを受け入れるのは、言葉では簡単ですが、実際はとてもとても辛く悲しい作業です

不妊の喪失を認識し喪の作業に取り組む

不妊によって人は多くを失います。
リンクを参照してくださいね。

そのため、喪の作業が心の健康の回復に必要です。
その作業を自身で行っている方もいらっしゃれば、
カウンセリングを利用されている方もいらっしゃいます。

喪失からの回復には喪の作業が必要なんだ、
と知るだけでも喪失感からの回復につながります

不妊によるトラウマを認識しケアする

不妊によるトラウマもリンクを参照してください。

不妊による心の傷は
自身でのケアは難しいこともあります。
カウンセリングだけでなく、
いろいろな活動(おしゃべり会やアロマセラピーやヨガ、ライブに行くやお料理教室などなんでも)
が、役にたつことがあります。

不妊の喪失と同様に、
不妊による心の傷があって、
それをケアする必要があるんだな、と
認識することがケアにつながります。

不妊は自分の一部であって全部ではない

不妊を経験すると、
自分は不完全だ、欠陥人間だ、と思うことが多いようです。
なぜなら、人間にとって、生き物にとって、子孫を残す、ということは
遺伝子レベルの使命だからです。
遺伝子レベルの使命を遂行できなければ、
遺伝子レベルで自分はダメだ、とおもうように「仕組まれて」います。

幸か不幸か(私は幸と思いますが)
今の日本では遺伝子の指令から解放され、
自分の意思が尊重される機会が多く、
その中で、子供を産むことができなければ欠陥人間、と思うのは
実は自分自身の可能性が一番多い状況のように思います。

ですから。
不妊であることは間違いないのだけれど、
それは自分の一部であって、全部ではなく、
全体の自分として、存在している、
という認識を持っていただけたらいいな、と思います。

不妊である一部の自分もありのままの自分と思える

そして、
不妊である一部を含めた自分を、ありのままの自分として、そんな自分を自分で好きでいられたらいいな、と思います。あなたの存在は宇宙の歴史上唯一無二です。
あなたはあなたしかいないのです。
そんな貴重な自分は素敵ですよね?
不妊以外の様々な自分はいるでしょう。
でも、全部あなただし、
全部であなただし、
そんなあなたはあなたが作り出し、
何があっても宇宙のオンリーワンって、
すごくないですか?

不妊の喪失やトラウマを理解、認識し、その対応、ケアをする、
そこから不妊は自分の一部で会って、全部ではないし、
不妊を含めた自分を自分は好きかもしれない、
と感じることができれば、不妊を受け入れ始めています。

不妊治療の終わりは新しい生殖物語の始まり:人生ある限りあなたの物語は続きます

不妊治療を終えることを決断したとしても、その瞬間から次のステージにいけるわけはありません。

波のように行ったり来たり、
山のようにのぼったりくだったり。

でも、気づくと景色の違う場所にいるはずです。

ありのままの自分を受け入れることができれば
どんな決断をしてもその先に幸せは必ずあります。
自分を受け入れることができない方は
目の前にある幸せに気づかないケースが多々あります。

子供が欲しいのに授からない悲しみは
当事者しかわからない悲しみではあります。
だからこそ、当事者である自分自身が
自分の悲しみを受け入れる必要もあるのです。

不妊によるトラウマは、周囲の問題もあります。
それはカウンセリングや社会を含め、
傷ついた方々をサポートする義務があるでしょう。

でも、ありのままのあなたを受け入れることができるのは
あなたしかいません。
不妊治療を終える決断をするのは
本当に大きな決断です。
迷って当然です。
子供が授かるまで続けたいと思うのが自然です。
それが可能ならそれでもいいでしょう。
ただ、一度しかないあなたの幸せはどこにあるかのかを再検討する機会でもあります。

あなた物語は人生ある限り続きます。
あなたにとってあなたらしい物語と思える物語が綴れますように。





子供のいない人生を歩んでいる方のサークル「オリーブの木」開催します。
リンクを参照してくださいね。

SHARE
シェアする

ブログ一覧

ページの先頭へ