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人工授精の複雑な心理と気持ちの浮き沈み

不妊治療の人工授精では複雑な心理と気持ちの浮き沈みがあります。その理由と対処法を知ることで気持ちのコントロールを目指します。

目次

人工授精とその心理

菜の花「花言葉」予期せぬ出会い

人工授精はどのような治療法なのか、そしてその治療を行うことでどんな気持ちの変化があるのかをお伝えします。

人工授精とは

キンセンカ「花言葉」再生

人工授精とは、AIHと呼ばれる不妊治療の一つで、子宮内に精子を直接注入する方法です。一般的にはタイミング法の次のステップとして行われる不妊治療です。

人工的に精子を注入しますが、卵管を通り受精するので受精から妊娠までの経過は自然な妊娠とほぼ変わりありません。また、人工授精だからといって生まれてきた子供に異常が出やすくなるなどの影響はありません。

主に下記のような夫婦が対象となります。

子宮頸管粘液分泌不全
タイミング療法で妊娠しなかった場合
ED、性交渉が難しい
精子の状態が悪い
子宮頸管を通過しにくい
フーナーテストにより精子と頸管粘液の相性が良くない場合や、子宮頸部の円錐切除などの影響による子宮頸管粘液不全など、女性側の条件によっても人工授精の対象になることがあります。

またEDや女性側の性交障害によって性交渉ができない場合や、出張などの機会が多く性交渉の機会をなかなかもつことができない夫婦も対象となります。

人工授精の成功率は5~10%程度、30代で10~15%、40代になると2%と下がります。

5回の中で最も成功率が高いのが1度目の人工授精です。妊娠の成功率は人工授精の回数を重ねるごとに下がっていきます。6回目以降の人工授精による累積妊娠率は低下しますので、5回を目安に次のステップについて医師と相談する必要があります。

(以上【医療監修】人工授精(AIH)とは?成功率やメリット・デメリットと費用より引用:リンク参照)

人工授精を行う際の気持ち

チューリップ「花言葉」恋の告白

人工授精についてご理解いただけましたか?「人工」とありますが、受精させる際に人の手が加わるためで、受精以降の仕組みは自然妊娠と同じになります。とはいえ、名前が「人工」なので抵抗を感じることがあるかもしれませんが、妊娠の仕組み上では、不妊治療の中でも自然妊娠に近い治療となります。

ただ、自然妊娠を当然と思っていたのであれば、やはり大きなハードルですし、タイミング法に比べると「人の手」が入りますので不妊であることを意識せざるを得ません。

また、男性は採精を行うことになります。そのため、女性より男性の方が「人工」感が強いでしょう。その精子も「洗浄」「濃縮」のように手を加えられるので、なおさら自然(な精子)ではない気持ちになりますよね。採精も自宅ですら不自然なのに「採精室」であればそれはそれは人工的に感じるでしょう。

そういう複雑な、タイミング法にはなかった思いがでてきます。

さらには、受精は自然妊娠と変わらないのに、受精に至る経緯、つまり性交渉なくして子供を授かることに違和感を覚える人もいるでしょう。これは、セックスレス、あるいは性交渉が難しいカップルの一方がよく感じるものです。

タイミング法で授からなかった場合、次の治療法として確率の高い人工授精を行うのは、それなりに状況の受け入れがあると思いますが、タイミングが取れない場合、つまり性交渉がうまくいかない場合、最初から人工授精を行います。この時、性交渉できればお金も払わず子供ができるのに、なんでこんなことをしないといけないのか、と性交渉ができるパートナーは思います。一方で、性交渉ができないパートナーはこの人工授精で安堵する、もしくは罪悪感を感じる、など、カップルの間で気持ちの違いが生まれます。

そもそも不妊治療においてはカップルの間で気持ちのズレ、温度差、考え方の違いは当然でてきます。ただ、この人工授精においては自然妊娠可能だけど、性交渉ができないために行うという要素もあり、他の治療法とは違う複雑な思いを抱くものになります。

なぜ複雑な思いになるのか?

沈丁花「花言葉」不老長寿

なぜ複雑なのか、ですよね?

①自然妊娠しようと思えばできるのかもしれない状況で治療をするから

②女性よりも男性の方が「人工」的な手続きが必要だから

③タイミング法より確率は高いはずなのに妊娠率が低い(5~10%:前述)

妊娠したいのにしないということは辛いことではあるのですが、
この段階ではまだカップルともに大きな不妊原因がないこともあって希望があることが多いです。

だからこそ、
性交渉「普通に」できれば妊娠するはずなのに人工授精せざるを得ないケースや
男性が「人工的」な作業をするため女性より抵抗があるケースや
タイミング法からのステップアップなのにその妊娠率が低いことに不安なケースなど
とても複雑でモヤモヤとした思いをいただく方が多いのではないかと思います。

人工授精にともなう気持ちの浮き沈み

ハナミズキ「花言葉」穏やかな心

上記したように、人工授精という治療方法は不妊治療の中では
「一般不妊治療」と言われ、
「高度生殖医療(顕微授精を含めた体外受精)」と分けられています。

勿論、初めて人工授精を行う方にとってはとても負担になる治療にはなります。
結婚したら子供が「自然に」「普通に」できると思っていたのですから。

それが叶わなくなったのであれば、穏やかでいられませんし、
なぜ自分が?自分たちが?と思うのも当然でしょう。
それでも高度生殖医療ではないので、
まだ妊娠への期待は高いことが多いようです。

でもここに性交渉の問題が加わると、カップル間でのぎくしゃくが生まれたり、
罪悪感、焦り、怒り、悲しみが伴います。

そして、こんな思いをしているのに、その妊娠率はびっくりするほど低いのです。
それでも毎月毎回希望をもつので、妊娠しなかったときの落ち込みも重なると、
いくら特定の不妊の原因はないと言われても、元気を失うのは当然です。

人工授精を行うとなると、このような複雑な思いを抱えながら
それでも希望をもって治療に臨むので、
結果が得られなかった時は
気持ちの浮き沈みがみられます。

人工授精にまつわる気持ちの対応法

ボケ「花言葉」知恵

人工授精にも特有の心理があるということです。
ここでは、その心の負担軽減、気持ちのコントロールやマネジメントのための対処法を3つ紹介します。

なぜ子供が欲しいのかを考える

ムスカリ「花言葉」明るい未来

これはどのような不妊治療においても言えることですが、
なぜ子供が欲しいのか、を考えることが、
今取り組んでいる治療に対するモチベーションをあげたり、
あるいは選択肢の決断を促したり、
もしくは一度しかない自分の人生について再検討することにつながります。

なぜ子供が欲しいのか、については生殖物語をご参考ください(リンク参照)

明確な理由はなくてもいいのです。
ただ欲しいから、でもいいのです。
なぜ欲しいのか、と自分に問いかけることが大事です。

その「答え」によって、気持ちの浮き沈み、心の負担を軽減することができるということです。
つまり、あなたの気持ちのコントロールができる鍵はあなたの中にある、ということです。

子供を授かる過程がどれだけ大事なのかを考える

桃「花言葉」あなたのとりこ

どうやって子供を授かるのか?

そんなこと、考えたことないですよね。
子供は男女が性交渉すれば授かるものってず~っと思ってたわけだし、実際そうですから!

ただ、今は性交渉することなく子供は授かりますし、
女性が自分で産まなくても自分の遺伝子をもった子供を授かることはできるのです。

そのような選択肢がある中で、
どれだけ自分にとって子供が生まれる過程が大事であるかを考えると
人工授精という治療法、選択肢の受け入れが進む、もしくは進まない、が明確になると思います。

ここで大事なことは。
人工授精という治療方法に納得いかないまま子供を授かると、
お子さんへの感情に「ブレ」がでてくる可能性があります。
勿論、無事生まれて「こんなに子供がかわいいなら、人工授精なんて全く気にならないし、むしろ無理矢理人工授精をした妻(夫)に感謝してる!」
という結果オーライならいいのですが、
そうではないケースもあります。

まずは、人工授精という治療方法、性交渉のない過程で子供が生まれることを
どう自分が感じるのかをあらためて考える時間を持ってみましょう。
そうすることで、複雑な思いも何がどう複雑かが少し見えてきて、
自分は何がOKで何がNGなのかがわかると、気持ちの負担も減ります。

正確な医学の知識を学び自分たちを客観的にみる

矢車草「花言葉」繊細

子供を授かることはとても感情的であり主観的なものになります。

子供が欲しい!
欲しいから欲しい。
自分が欲しいから欲しい。

感情的な主観ですよね。
でも、それでいいのです。
それがあなたの願いならそれを大切にしてください。

ただ、不妊治療をしないと子供が授からない、という事実を受け入れるのが難しい。

そんな時は不妊治療について、人工授精について
改めて正確な医学的知識を身につけて、客観的に今の自分達の体の状態を知る、
さらに治療法についてどういうことが行われ、
どういうリスクがあって、
どれだけ費用や期間がかかるのかを知る。

勿論通院しているクリニックに上記したすべて情報があるかもしれませんが、
できれば他の病院でのやり方なども調べることで
より客観的に自分たちの治療状況を知ることができます。

子供を授かることはとても個人的なことです。
だから他の人達との比較はあまり意味をもちません。
他人との比較ではなく、
自分たちを自分たちで客観視することが大事なのです。

そうすることで、今抱えている不安がなくなることはないにしても
最小限に抑えられる可能性はあります。


まとめ

山吹「花言葉」富裕

人工授精という不妊治療方法は「人工」という名前がついていますが、
治療法自体は自然妊娠に近いです。

それは頭でわかっているものの、やはり人工授精に抵抗があるのは
①性交渉なしでも子供が授かれる
②男性は「人工」的な作業が必要となる
③妊娠に至りそうでその成功率は低い

などがあるからでしょう。

そんな複雑な思いをしても妊娠に至らなければ
気持ちの浮き沈みがあっても当然ですし、
回を重ねるごとに、その浮き沈みの幅は大きくなります。

それらを軽減するために
①子供が欲しい理由、
②子供を授かる方法、
③医学的な情報収集と自分達を客観視する、

を再検討することで、
心の負担を軽減し、気持ちのコントロールが可能になると思います。

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