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不妊治療の心のケア:タイミング法で知っておきたい気持ちの色々

子供がなかなか授からない場合、最初に取り組む不妊治療はタイミング法と呼ばれる、女性の排卵に合わせて性交渉をすることです。

「普通」の妊活手順のようで、実は多くの心の変化や負担があります。

目次

タイミング法の治療法と気持ちについて知りましょう

タイミング法について知っておきたいこと、
タイミング法によってどんな気持ちになるのかをお伝えします。

タイミング法とは

タイミング法とは、医師の指導によって基礎体温や超音波検査、ホルモン検査などから排卵日を予測し、最も妊娠しやすいタイミングにあわせて性交渉を行う方法です。

卵子の寿命は排卵から24時間程度で、そのうち精子と受精できるのは約6~8時間です。そのため、タイミング法によって「排卵日の2日前ごろに性交渉を行い、精子が卵管膨大部で排卵を待ち受けている」という、受精しやすい状態を作ります。

毎月1回、排卵日を予測しながら性交渉を行い、その後に妊娠しているかどうかを確認することを繰り返します。

自然周期によるタイミング法で上手くいかないときは、排卵誘発剤を併用して排卵を促し、受精の確率を高めることもあります。

以上【医療監修】タイミング法の治療方法は?妊娠が成功する確率、費用や回数は?からの引用(リンク参照)

タイミング法で知っておきたい気持ちの変化

タイミング法についてご理解いただけましたか?
すごく難しい治療ではないのですが・・・

女性の排卵日は自分で基礎体温を測って予測することも可能ですが、ピンポイントで予測することはかなり難しく、基礎体温の測定そのものが負担だったり、負担が大きい割に不正確だったりします。

卵子の「寿命」は排卵後24時間程度のため、この24時間を大切にしたいですよね。
そのためにより正確に排卵の時期がわかる病院でのチェックを受けてみよう、ということになります。

また、自分達でこれまで避妊をしていなかった、あるいは排卵日を予測して性交渉をしていたのに妊娠していないのであれば、病院やクリニックに行くことで、何かしらの原因が見つかることもあります。
それはそれで、原因が解決できるものであれば、妊娠出産への近道にもなるでしょう。

一方で、思わぬ「不妊」の原因を知る場合もあります。
それは当然心の負担になりますが、今回はカップルにとく問題は見つからない(女性の年齢40歳未満でホルモン値良好かつ卵管が詰まっていない、精子状態が良好)の場合の、タイミング法による心の負担についてお伝えします。

タイミング法を試してみよう、となった時点で、妊娠しやすくなる期待ともし何か問題あったらどうしよう、という不安が芽生え、気持ちが変化していくことを知っておくとよいでしょう。

タイミング法で起こりうる心の負担とは?

なかなか妊娠しないので、病院に行き、カップルそれぞれの検査を行いました。
とくに明確な不妊の原因は見つからないので
まずはタイミング法を試しましょう、となることが多いです。

検査して問題がないとわかったのなら、排卵日がずれていただけと思いますよね。
タイミング法を始めればすぐにでも妊娠できる!と思うでしょう。
医師の診察、指示された日に性交渉をする、場合によっては薬の服用、とそれほど難しいことではないはずなのですが‥‥

性交渉に対する男性のプレッシャーと女性の焦り

タイミング法を行うということはカップルで子供が欲しい、という気持ちになっていることを前提にします。

女性は自分の卵胞をエコーでみる機会もあり、排卵を実感しやすいので、
これで性交渉したら妊娠するよね!と気持ちが高まりやすい状況です。

女性が診察後、パートナーに「今日中に排卵しそうだって!」と連絡をするでしょう。
それを見た男性は、「そっか!じゃあ、今晩頑張るぞ!」となれば、本当に素晴らしい。

しかし、男性が全員、そういう気持ちになるわけではないのです。
男性はこれまでも今も子供が欲しいと思ってるし、
だからなかなか子供が授からなくてタイミング法に期待していたのに、
いざ「今晩!」とパートナー、そしてその向こうに見える医師に指示されると、

ものすごく嫌

になります。

それはなぜか?
性交渉はカップルだけの特別なコミュニケーションですし、気持ちの面も大きいですよね。
自分が相手に触れたい触れられたいという気持ちがあっての性交渉ですし、
(ここは厳密には本能欲求の部分もありますが、そこは今回さておき)
これまではずっとそうだった。
その先に子供が生まれればそれはとても素敵なこと。

だから「今日やって」と「指示」されることはとても不快な思いをするのは当然なのです。

ただ、女性は必ずしも同じように思わないところが難しい。

女性も勿論自分の意思で相手に触れたい、触れられたいという気持ちで性交渉を望んでいますが、
24時間しか寿命のない卵子のために
「今日精子と出会ってもらいたい!」という気持ちが強くなり、
自分達ではわからなかった排卵日がほぼ明確になったこのチャンスを逃したくない!
ととらえ、
指示されることに抵抗が少ないのです。

これは男女の体の構造も深くかかわります。
妊娠するためには
男性が(精子を)与える方で、女性は(精子を)受け取る方です。
性交渉を「指示」されて
プレッシャーを感じるのはどうしても与える方です。

うまく与えられなかったら(性交渉、射精できなかったら)どうしよう、とか
自分の意思次第でこの排卵日を逃すことになるのか?とか
ちらつく(男性の)医師が気になるとか。

性交渉へのプレッシャーまたは指示による不快感は、想像以上にあります。

そうなると女性の方は焦りを感じます。
男性パートナーが上記のような気持ちになっているとは知らず、
今日は飲み会、残業、疲れた、
と言って性交渉してくれなかった。

なぜ?
って女性は思いますよね。

でも、100歩譲って明日でもまだ大丈夫、と思いつつ、
ものすごい焦りと、おそらく怒りも感じるでしょう。
なんのためのタイミング法なの?と。

男性が性交渉へのプレッシャーなどを女性に語ることができればベストなのですが、
これはなかなかの至難の業です。
プライドもありますし、性的な話も簡単にはできません。

このコミュニケーションがうまくできるかどうか、が一つの山になるでしょう。
男性のプレッシャーと女性の焦りをお互い伝えることができれば
タイミング法も自分たちに負担の少ない方法で取り組めることができます。

判定日の落胆はかなり大きい

医学的に排卵日を推定して性交渉をしたのですから、
妊娠する可能性はかなり高いと思いますよね?
ところが実際はそれほど簡単なことではないのです。

女性は毎月排卵をしていますが、
その卵子の状態は毎回「良好」というわけではありません。
また、精子も検査では良好であっても、比較的その時の状態に差が出やすく、
排卵した直後に精子と卵子が出会ったとしても、
①受精をしなかった
②受精したものの成長、着床しなかった
こともよくあるのです。

実際、自然妊娠の確率は
20代で20%程度
35歳あたりから急激に確率が低下し
40代では5%にまで減少します。

妊娠は女性の年齢が関係するのですが、想像より低い数字と思われる方もいるかもしれません。

それぐらい、妊娠することは卵子と精子の奇跡の出会いであり、
簡単に妊娠できるわけではないということです。

ただ、タイミング法という医療の手を借りて妊娠に臨むわけですから、
期待は大きいですよね。
だから判定日で陰性(妊娠反応なし)となると、
その落胆は大きいでしょう。

最初は、来月また頑張ればいっか、と思ったり
次の排卵まではあまり妊娠を気にせず生活できるとほっとしたり、
妊娠していなくてもそれほど落胆はないかもしれません。

でもそれが3か月、6か月妊娠判定がでず落胆が続くと、
さすがに心も疲れてきます。

また、ここも男女の差はあります。
女性は妊娠しなかったことを直接的に感じることができるので(体の変化がない)
男性より落胆は大きいでしょう。

男性も勿論期待はしています。
ただ、また次頑張ればいいじゃない?と考える男性は多いようです。

あるいは、判定日に陰性と聞いてすでに女性が悲しそうな顔をしているのに
男性の自分がさらに悲しい表情をするのも難しい場合もあるようです。
実は落胆しているものの、あえて明るく来月頑張ればいいじゃん!
と声をかけることもあるでしょう。

男性が次頑張ればいい、と言ったときの本音は色々ですが、
男女差はあるものの、
判定日の落胆は想像以上に大きいものです。

自分達で妊娠を目指していた時に比べ、
明確に結果がでるのがタイミング法(あるいはすべての不妊治療)です。

自然妊娠の場合は、排卵日がずれていたかな、という
「言い訳」があるので
妊娠していなくても落胆はタイミング法ほど大きくありません。

タイミング法は期待があるだけに落胆は大きく、
自然妊娠に近いとはいえ、
このタイミング法では
判定日の落胆、疲れはあることを知っておくと良いでしょう。

女性は妊活に敏感になり男性はその変化についていけない

タイミング法を始める頃は、
これで妊娠できるといいなあ、
くらいの気持ちだったのが、
病院に行って、自分の卵胞を見たり、妊娠の仕組みに詳しくなり、
それでも妊娠に至らないことが続くと、
しだいに、「妊活」に敏感になる女性が多くいます。

それは、とても自然な気持ちです。
子供が欲しいと思ってるのに授からないだけでも、
なんで妊娠しないんだろう?って思うのに、
医療の力を借り、
自分でも妊娠するために必要な知識を身につけ、
妊娠するためにできること、改善できることに取り組んでいれば、
妊活情報、妊活に関するあらゆることに敏感になるのは当然でしょう。

一方で男性は、タイミングをとることでより積極的に子供が授かろうと思っているものの、
性交渉の「指示」以外は、これまでの妊活と変わることはほとんどなく、
妊娠していないとわかっても、次頑張ればいいと思うことが多いようです(勿論落胆もありますが)。

これは上記したように、
男性と女性の体の違いや、
女性が主に病院に通い、直接医師と会話をしたり、
病院での妊活中の人たちを目の当たりする機会が多いので、
女性は妊娠、妊活に敏感になり
男性はその敏感性についていけないことがよくあります。

こうなると、
女性はなぜこんなに妊活を頑張っているのに
パートナーは妊娠しなくても平気でいられるのだろう?と感じたり
男性は急に妊活に力を入れ始め、生活の中心が妊活になっていることに正直うんざり、
となりがちです。

でも、双方、そういう気持ちになる当然の理由があるのです。

女性は病院に通っているのに妊娠しない、
その落胆はあるし、
男性は病院に通う機会もなく女性からの報告がほとんどだし、
女性と同じように焦ることはない。

そういう背景をお互いが理解して話し合えることができれば男女の温度差は抑えらます。
が、
この話し合いがなかなか難しいものです。

タイミング法特有の心理を理解して対処する

タイミング法特有の心理はあります。
それを男女がそれぞれ理解し、
それぞれが対処法を知っていれば
男女の温度差は抑えられ、
妊活、不妊治療の心の負担は軽減できます。

心の負担は当たりまえの妊活・不妊治療

子供が欲しいと思っても授からないことは、すでに心の負担です。
結婚すればすぐに子供ができる、と思う人は多いでしょう。

でも実際は限られた時間内での卵子と精子の出会いが必要であり、
それ以外にも様々な好条件がなければ、妊娠、出産に至らないのです。

妊活そのものが、すでに一人一人の心の負担になっていますし、
加えて、子供を授かるということはカップルの問題です。
男女が関係しなければ子供は授かりません。

これが、妊活を複雑にし、心の負担を増幅させる要因でもあります。

妊活や不妊治療が一人でできるものであれば
もっと楽だと感じる人も多いでしょう。

小さな積み重ねが大きな負担にならないように

妊娠すればすべて解決する!
だから、それまで頑張って、嫌なことがあっても我慢する!
と我慢し続ける方も多いです。

でも、それが体の負担であっても心の負担であっても、
最初は我慢できても、
一つ一つは小さな負担であっても
それが積み重なって、まるで小さな雪の塊が大きな雪だるまになってしまう「雪だるま方式」になりがちです。
気付けばいつもの自分ではなくなるほど、
心は疲れ切って、体は不調だらけ、ということもよく聞きます。

「タイミング法は不妊治療の中でも全然たいしたことがないから」
といって軽くとらえるのではなく、
どんな治療であっても、
そもそも治療をしていなくても、
子供が欲しいのに授からない、
という気持ちは大きな心の負担だし、
授からない時期が長くなればなるほど、
その負担はさらに大きくなる可能性が高いので
早いうちに対処をすることがとても大事です。

対処の時期を逃してしまうと、その後の人生に影響しかねません。

対処する時期の見極めは難しいのですが、
ちょっとでもしんどいな、
誰かに相談したいな、
一人ではどうにもならないかも、
と感じたら何かしらのケアが必要というサインです。

「まだ大丈夫」なうちに相談先を見つけておく

タイミング法を始める頃はまだ気楽さがあったり、
何回かタイミングをとれば妊娠するよね、という心の余裕があります。

そういう余裕がある時に、
もしかすると必要になるかもしれない相談先を見つけておくことが大事だと思います。
通っている病院やクリニックにカウンセリングなどの相談機関があるかどうか?
予約方法、利用時間帯、料金などは?

もし通院先にないのであれば外部で相談できるところはあるのか?
最近は自治体でも不妊相談を行っており、
無料の場合も多いので、
必要と思ったときにすぐに利用できるよう
メモなど取っておくと良いでしょう。

相談してみたけど、逆に傷ついた、という話もよく聞きます。
それは相談したけど、こちらの話は聞かず、一方的なアドバイスをする、情報提供だけとか
相談員の価値観の押し付けなどがあった場合が多いようです。

そうなると相談することを躊躇したり不要と考えるかもしれません。
自分にとってベストな相談先を探すことは、
エネルギーを必要としますので、
気持ちに余裕があるときに探しておくことをお勧めします。

相談はカウンセリングだけではありません。
鍼灸院や漢方薬局でも不妊に詳しい方がたくさんいらっしゃいます。
体の不調についてはそちらで相談が良い場合もあります。

同じように価値観を押し付けてくるのではなく、
あなたの悩みを最後まで聞き届けて
あたなにベストな対処法を提案し
決めるのはあなた、という対応をしてくださるところであれば
どこであっても間違いはないでしょう。

カップルで相談できるところを見つけることも大事です。

色々な相談先を持つことは心のケアにつながります。

まとめ

子供がなかなか授からなくて不妊かもしれない、と思うだけでも不安が募ります。
まずは妊娠するために正しい知識を知ることが大事でしょう。

タイミング法という治療を始めるにあたり、
「病院に行けばすぐ妊娠できる」と思い込みがちですが、
実際はそうでないことが多く、
またカップルでしか分かり合えない気持ちのあれこれ、
つまり心の負担を経験することになることも知っておくとよいでしょう

その心の負担が、カップルでそれぞれ違うというところが妊活、不妊治療の複雑なところです。

早い段階で正しい妊活の知識の理解、タイミング法特有の心理、そしてケアが必要となった時の準備をしておくことで、負担になる感情の増幅を抑え、カップルの関係悪化を避けることができます。

妊活・不妊・不妊治療の相談はカレンダー、お問い合わせからお申し込みいただけます。

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