男性の「生殖物語」の紹介:カウンセリング事例から
生殖心理カウンセラーの小倉です。
前回、女性の生殖物語について書きましたが、今回は男性の生殖物語について。こちらに関しては紹介できる小説がないので、私が担当したカウンセリングの事例を紹介しますね。
ちなみに福山雅治の「家族になろうよ」は男性の生殖物語です。
事例①早く子供が欲しい男性
結婚して数年、当初はそれほど子供が欲しいと思っていなかったが、友人や同僚に子供ができ始め、自分も欲しいと思うようになった。妻は欲しくないわけではないが、自身の仕事もあり、自分ほど焦りが無い様子。子供は数人欲しいので、自分の年齢(35歳)を考えると早く第一子が欲しいと焦るようになった。子供が生まれることで自分も「一人前」という気持ちになる。
事例②子供が欲しいと思うようになった男性
結婚当初は仕事が多忙でセックスレスに近い状態だったが、ようやく仕事も落ち着き、経済的に安定してきたので子供が欲しいと思っているが、妻が仕事で出張が多く、子供をもつことをあまり考えていない。実家の長男であるため、両親から何気なく子供のことを期待するような言動があり、最近プレッシャーに感じる。現在自分は40歳、妻も39歳のため、正直子供が授かるのは難しいことも理解しているが子供が生まれれば家系を途切れさせない安堵感が得られる。もっと早く妊活をするべきだったと後悔もあるが、今なら積極的に子育てに関われるので妻と一緒に頑張りたい気持ちがある
事例③子供は授からなくても夫婦二人で歩む人生もよしとする男性
結婚してすぐに妻が妊活を始め、排卵日に合わせたセックスが続き、正直最近うんざりしている。当初は子供がいる家庭を想像していたが、妊娠していないとわかった時の妻の様子や、タイミングに合わせたセックスへのプレッシャーが自分には対応できず、今は距離をおきたいと思っている。子供がいる家庭をイメージしていたものの、こんなに妻からプレッシャーをかけられるとは思っていなかったので、こんな思いをするなら夫婦二人で歩んだ方が幸せではないかと思っている。
以上、私が以前担当した男性のカウンセリングでうかがった生殖物語にまつわる事例を紹介しましたが(実際のものとは秘密厳守もあり脚色してありますのでご了承ください)男性もそれぞれ生殖物語をもっており、それが実現する方もいれば、実現しない、あるいは想定外に変更を余儀なくされるケースは多々あります。たとえば無精子症の方は、生殖物語の書き換えがとてもとても大変です。
女性だけではなく男性にも子供を持つ思いがありますが、男性は女性ほどその物語を語らないので、男性に生殖物語はないと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。ちょっとした、自分の子供を持つ、育てる、という思いは自身が思うより大きな意味を持つことがあります。そういった思いは大切に丁寧に扱うことが大事です。
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