不妊治療中に効果的なカップルカウンセリング
不妊はカップルの問題です。不妊治療を行っている場合は、とくにカップルのコミュニケーションや決断が大事なのですが、自分とは違う相手と同じような気持ちや考えになるのは難しいですよね。そんな時はカップルカウンセリングを活用してみてください。
目次
- ○ カップルカップルカウンセリングとは
- ・カップルカウンセリングにおけるカウンセラーの役割
- ・カップルカウンセリングはこんな感じ
- ○ なぜ不妊治療中にカップルカウンセリングが効果的なの?
- ・不妊はカップルの問題だから
- ・カップルだけで話すと感情的になったり堂々巡りになるから
- ・不妊や男女特有の心理を理解しているカウンセラーがサポートしてくれるから
- ○ カップルでの話し合いのコツを知ることができれば不妊以外の問題も対処できます
カップルカップルカウンセリングとは
カウンセリングとは、基本的に相談者(クライエント)の気持ちや考えを話してもらうことで、カウンセラーが言葉を介しながら、相談者が本来自身で決断してる展開になるようサポートすることです。
カップルカウンセリングの場合は、カップルである相談者たちのそれぞれの気持ちや考えを話してもらい、さらにカップルがどのような関係であるのかを把握し、カップルが健康的なコミュニケーションによって、決断にいたるようサポートすることになります。
カップルカウンセリングにおけるカウンセラーの役割
カップルカウンセリングにおけるカウンセラーの役割は
① 基本的に中立でいること
② カップルが機能しているのか(健康的な関係であるか)どうかを客観的立場で観察してフィードバックする
③ 機能していない場合、どうすれば機能するのかカップルと一緒に3人で検討する
となります。
カップルのどちらか一方の味方になることはないですし、
カップルとしてサポートするので、どちらかに問題の原因があるという指摘をすることもありません。
あくまで、カップルが「うまくいく」ためにどうすればいいのか
専門的な知識を伝えながら(あるいは技法を使いながら)
カップルにとって最善の道を3人で一緒に検討します。
カップルカウンセリングはこんな感じ
では、カップルカウンセリングの流れをざっくりお伝えすると
① カップルがカウンセリングを受けに来た動機をそれぞれ確認する
② それぞれの動機(気持ちや考え)を聞いて、それぞれがどう思ったかを共有する
③ カウンセリングの場でのコミュニケーションが普段と同じかそうでないかを確認する
④ 普段と同じであれば、カウンセリングで話されたことは比較的カップルにとって有効と判断できるし、普段はこんなに会話しない、夫は黙っているだけ、妻は自分一人でどんどん決めている、ということであれば、カウンセリングの場を利用してお互いの思いを伝えあい、今後どうしたいかを検討する
⑤ カウンセリングはあくまで非日常なので、終了後は日常に戻るが、カップルが二人でカウンセリングを受けたことはとても貴重な経験として受け止めていただく
つまり、普段のカップルの生活の中で、第三者を前にして自分たちの思いを語ることはないので、いつも以上に話すこともあれば、いつもより全然話さない場合もあります。どんなやりとりであっても、カウンセラーがいるということで、お互いが普段とは違う一面を見せたり、あるいはカウンセラーの質問により、今まで聞いたこともないような思いや考えを知ることになったり、非常に特別な時間を過ごすことになります。
だからといって、魔法のようにカップルが仲良くなるわけではなく、逆に一時的に腹を立てる場面があっても、カウンセリングが終われば元通りに戻るのがカップルです。それでも、一瞬でもこれまでと違うパートナーを知る機会はその後のカップルの関係にとって実りあるものになります。
なぜ不妊治療中にカップルカウンセリングが効果的なの?
不妊はカップルの問題だから
不妊は、カップルが子供を授かろうとしたとき、思い通りに授からない時に起こります。一人では不妊は起こらないし、カップルが子供を望まない時も不妊は起こりません。
だから不妊は子供を望むカップルの問題です。
カップルそれぞれの気持ちや考えが重要だけど、お互い自分ではないので、同じように思うということはとても難しい、でも不妊治療においては決断を迫られることばかり、話し合いはするが感情的になったり、堂々巡りになったり、温度差があったりで、ただでさえ、思い通りに行かないのに、カップルの間もギクシャクして疲れ果てました、という話はよ~く聞きます。
なぜ、疲れ果てるのか?
それは不妊がカップルの問題だからです。
自分一人の問題だったらこんなに疲れません。
だから、カップルの問題を解決するのもすごくエネルギーが必要です。
自分たちで解決できるカップルもいますが、
解決できるカップルが「優秀」とか「すばらしい」というわけではありません。
不妊の背景(理由、要因)は様々なので、その背景によって解決可能な場合もあれば、
解決に相当な努力や時間を要する、もしくは解決不可などがあるので
自分たちで解決できないかも、と思っても
それは自分たちカップルが「劣る」わけでは決してない、ということは知っていただきたいです。
カップルだけで話すと感情的になったり堂々巡りになるから
カップルだけで会話していると、
それまでの関係があるわけですから本音を言ったり、
感情的になったり、昔のことを思い出したり(蒸し返す、とも言います)
なかなか「議論」にならないことも多いです。
それはそれでもいいのです。
カップルですから。そういう堂々巡りもあるでしょう。
感情的になれる相手はそんなにいませんから
甘えることができる相手として大事です。
ただし、不妊治療となると、
第一に、時間が限られています、
いつまでも堂々巡りとはいきません。
第二に、子供を授かる授からない、は人生においても大きな出来事です。
新しい洗濯機を買う、買わないとはレベルが違います。
第三に、子供を持つ、もたない、はこのブログでも何度も言っている生殖物語が関わります。昨日今日の思いで子供について話しているのではありません。3歳頃から心の中で芽生えている物語です。その思いを、相手に伝えるのはなかなか難しく、かといってないがしろにもできません。下手をすれば相手を傷つけるような発言が飛び出る可能性もあります。
以上の要因を考えると、カップルだけで話すには限界なことがあります。
不妊や男女特有の心理を理解しているカウンセラーがサポートしてくれるから
生殖心理に詳しいカウンセラーとカップルカウンセリングをおこなえば、不妊特有の心理は勿論、不妊にまつわる男女の違い(最近は同姓カップルも対応しています)も理解しており、それを相談者に伝える役割もあるので、
なんでこんなに話し合いがうまくいかないのだろう?
相手が何を考えているのかさっぱりわからない、
結婚相手を間違った?
のような疑問から解放されることもよくあります。
知識や情報があるだけで解決できる問題は早めに解決できるといいですよね。
そのためにも不妊治療中のカップルカウンセリングは有効です。
カップルでの話し合いのコツを知ることができれば不妊以外の問題も対処できます
カップルカウンセリングそのものがカップルの関係改善になりますが、
さらに、カップルでの話し合いのコツや関係向上についても
学ぶ機会になります。
それは不妊治療中の関係においては必須なことである上に、
これからのカップルの将来のためにも知っておくことはとても有効ですよね。
不妊というとてもプライベートなことを、専門家とはいえ話すことにはとても抵抗があるでしょう。
それは当然だろうと思います。
ただ、ちょっとサポートがあればうまくいくところを、自分たちで解決しようと思い、こじれてしまい、さらに修復不能に陥るケースもよくあります。
一度、修復不能まで悪化すると、改善はかなり難しく、また心の傷つきも大きいです。
結果的に利用することはないにしても
カップルカウンセリングの利用は検討してもいいかもなあ、くらいに思っていただくだけでも
予想外に負担のある不妊治療中の気持ちに少し余裕を与えてくれるかもしれません。