過去を振り返る:健康的なパターンと不健康なパターン
生殖心理カウンセラーの小倉です。
いろいろなカウンセリングを行っています。
8割ほどは不妊に関わるカウンセリングですが、最近は夫婦関係や自身の人生の意味についてなど、不妊とは離れたカウンセリングを行う機会もあります。
そこで気づいた思考のパターンがあります。
基本的にカウンセリングは「今」を重視するので、今の気持ちに焦点をあてます。それでもふと、過去に思いを向け、そういえばあの時あんな風に思ったんだよね(たとえば「結婚してすぐに子供はいらない、仕事で海外に行く方が大事」)と思い出す機会があります。そして、このパターンであれば、今だったらこんな風に思えるかも(「海外は子供を産んだ後でも行けたんだよなあ」)、今でもやっぱり同じように思うかも(「子連れで海外は結局制約があったり希望通りに行かないから当時の判断でよかったかな」)、など今の自分が過去の自分を見つめ直す、違う角度で見る、など、過去を思い出すことによって自分の歴史を「統合」するなどの、とても健康的な過程を踏んでいます。
この場合、カウンセリングでもどんどん思い出していただき、今ならどう思う?でも、当時の自分を受け入れることができる?などの対話をすることが多いです。過去の出来事は変わらないのですが、その出来事に対する考え方、感じ方は時間とともに変化する、変化しないを確認する作業は自身の成長においてとても大事だからです。
一方で、あの時ああすればよかった、どうしてあの時こうじゃなかったんだろう、のような後悔ベースで思い出すパターンもあります。「たられば」の世界に入るパターンです。もし、あのときああだったら(仕事をやめて子供をすぐに産む)、今はこんなに辛くないはずなのに、と言う感じで・・・この場合の過去の振り返りは不健康です。なぜなら、過去に起こった「出来事」(子供を産まずに仕事を続けたこと)だけに注目して、その出来事が違うこと(仕事をやめて子供を産んでいた)を望んでいるからです。なぜその出来事が起こったのか(海外で仕事をしたい自身の意欲)に思いをはせることができず、その事実は覆ることばかりを考えてしまいます(仕事をやめて子供を作ればよかった!)。そういういう思考に囚われると、なかなか現実を受け入れることができません。
過去を振り返る際、重要なのはその「出来事」なのか(仕事を続けた)、その出来事に対する自分の「思い」なのか(海外で仕事をしたいから子供は後でと考えた)、を区別できれば、過去を振り返ることが健康的な場合もあるし、不健康な場合があることがわかります。
もしかして、不健康?と思う場合は、振り返り方、思い出し方を変えることができます。カウンセリングではそのコツをお伝えすることもできますので、必要に応じてご利用ください。
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