不妊を取り巻く環境の変化と戸惑い
こんにちは。西船橋にあるガーベラ不妊相談室、不妊ピア・カウンセラーの岡田です。
梅雨入りも間近で、肌寒い火曜日です。
さて、今日は4月から適用された不妊治療の保険適用開始から2ヶ月となり
当事者の方の気持ちを聴くことが多くなりましたので少しまとめてみたいと思います。
目次
保険適用について
そもそも、保険適用ってどういうことなの?
と、その内容について分からないという声も多く頂きます。
ざっくり言うと、今まで自費で行っていた治療が保険診療で受けられるということですが
それならいいことづくめ!ですよね?←ざっくりすぎです
でも、不妊治療の保険適用には様々な制約があります。
認められた治療・薬にしか適用されない
保険診療は、国で決まった治療、薬にしか適用されません。
今まで自費診療で行っていた治療や、使えていた薬が適用されないケースがあります。
治療の中で、1つでも自費の治療や薬の処方があると
混合診療(自費診療と保険診療を同時に行う)が認められていない
日本では、保険診療できる治療を含め全てが自費扱いとなってしまいます。
開始当初は、クリニックでも対応や処方に大変ナーバスになっていたと聞いています。
保険適用されるこの薬は今まで使っていた薬と成分は同じだが、効果は少し劣る
と医師から説明されて、モヤモヤした、という相談もありました。
回数や対象が決められている
今まで不妊治療、特に高度治療である体外受精や顕微授精などについては
高額で諦めていた方や負担の大きさに悩んでいた方も多くいらっしゃいますので
保険適用になった分、取り組みやすくなかった方も多いかと思います。
また、一定基準の治療を受けられるという意味では
治療が始めやすくなった、分かり易くなったという方も多いかと思います。
ただ、保険診療には条件があります。
■治療開始時の妻の年齢が43歳未満であること。
■40歳未満:1子ごとに胚移植6回まで(1人出産ごとに回数はリセットされる)
40歳以上43歳未満:1子ごとに胚移植3回まで(1人出産ごとに回数はリセットされる)
■法律上の婚姻関係にあること
■事実婚であること。事実婚の場合にはは、
・重婚でない(両者がそれぞれ他人と法律婚ではない)こと
・同一世帯であること(同一世帯でない場合には、その理由を確認)
・治療の結果、出生した子について認知を行う意向があること
助成金がなくなるということ
不妊治療の保険適用を機に、助成金が廃止されました。
上に書いた、保険診療を受ける条件は
以前の助成金に対する条件を踏襲しているように思いますが、
自費で治療を受け、助成金をもらうのと
保険診療で治療をするのと、どちらがよかったんだろうか、
という想いを話される方がとても多くいらっしゃいます。
企業や自治体独自の取り組み
昨今、企業でも様々な取り組みをスタートしているようです。
「女性の生殖可能期間」を鑑みて、不妊治療に取り組める休職制度を設けたり、
相談できるしくみや
周囲の理解を増やしていくために、管理職向けへの研修を行う企業もあります。
また、自治体独自に相談体制を整えたり、独自の助成を行うところも出てきています。
利用できるサポートを、定期的に確認しておくことは大切かと思います。
千葉県と港区の取り組みをご案内しておきますね。
当事者の想い
不妊治療の保険適用開始から2ヶ月が経ち、様々な声が聞こえてきています。
金額が高く諦めていたが、これで体外受精にチャレンジできる
保険適用内でベストが尽したい、という喜びの声も多くあります。
気持ちがあっても、躊躇されていた人にとっては大きな進展だったと思います。
一方で、
クリニックの待ち時間が長くなった
クリニックの処方に時間が掛かることが多くなった、
という声も聞こえています。
受診する人が多くなった、保険適用の薬に間違いがないか確認作業が多くなった
ということもあるかもしれませんね。
今まで自費で治療をしていた方は、
何をどう選択するのがベストなのか分からない、悩む方もいらっしゃいます。
特に、30代後半から40代で保険適用対象の方は、
より効果が高い、確率が高い、
と言われる治療法や薬を選んできた方が多くいます。
自費で行う治療費は高いけれど、助成金や高額医療費控除で少しは還付されていました。
体外受精や顕微授精が保険適用になったのは大変ありがたく嬉しいが、
制限の多い保険適用範囲内の治療は自分にとって最善とは言えない、
自費でやりたい治療や薬を選択したいが、助成金がなくなったことで
反って負担が増えた。元に戻してほしい、という想いも伺っています。
スタートしたばかりの保険適用ですから、この1年は様子をみることになると思いますが、
女性の生殖可能期間には、限りがあります。
「子どもを授かりたい」と思う全ての方にとって良い方向に改善できるよう
スピード感をもって←よく聞くフレーズですが
改善を進めてほしいと、切に願います。
治療の選択のお悩みもお話ください。一緒にベストな方法を検討していきましょう。
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