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不妊を経験して辛いのは。


西船橋にあるガーベラ不妊相談室、不妊ピア・カウンセラーの岡田です。
新型コロナウィルスの状況が落ち着かず、不安を感じていらっしゃる方も
多いことと思います。
以前にも書いたかもしれませんが、私は東日本大震災時期に不妊治療を
行っていました。
ただでさえままならない不妊に悩む中、
思うような治療や取り組みさえ躊躇するような今の状況は、
辛いと感じることは当然だと思います。

目次

思うように進まない時に辛いと感じることは、自然で当然。

「ままならない」「うまくいかない」時に
辛いと感じるのは当たり前のことです。

特に不妊は、勉強やスポーツなどと違って、
努力した分の成果や結果に繋がらないことも多く
思った通りに進まないのですから、辛くないわけがないんです。

辛い中で
「ポジティブに考えなくては」「もっと頑張らなくては」「前向きになろう」
「昇華させよう」などと無理に思わないでほしいと思います。

「時間もお金もかけて、心身の負担も大きい中頑張っているのに、
色んなことを我慢したり試したりしているのに上手くいかないのだから、
辛いと感じるのは当たり前のことだ」とまずは自分で認めてみてください。

経験したからこその辛さ。

先日、代表の小倉が心理の専門家として、不妊の辛さとその原因、付き合い方を
書いていましたが、いかがでしたか?(リンク参照)

私も治療中、通院していたクリニックで臨床心理士のカウンセリングを受けたことがあります。
その時は、自分自身モヤモヤして、イライラしていて、
カウンセラーの方(小倉ではありません)の話や提案を素直に
受け止めることが出来ませんでした。

多分、あの時の私は答えが知りたかったんです。
どうしたら妊娠するのか、どうしたらこの辛さから解放されるのか
それは、いつなのか…。

だから、気持ちを整理したり自分と向き合う余裕がなかったんです。
いや、そんなことしたくなかったんです。(笑)
ただでさえ辛いのに、何で私だけ更にそんな面倒なことしないといけないのか、と。

不妊の辛さが厄介なのは、「子どもがなかなか授からない」「通院して治療している」
時だけとは限らないところです。

私が経験した辛さを少し書いてみますね。
①思うとおりに進まない辛さ
②人間関係の辛さ
③妊活を終えた後の辛さ

①思うとおりに進まない辛さ

まず、子どもを授かりたいと願った時、
「秋生まれがいいな」「夏生まれがいいな」「男の子がいいな」「女の子がいいな」
「2歳差で2人欲しいな」「できれば3人欲しいな」
そんな話をパートナーとしていました。
「同級生だったらいいね」友人や同僚とはそんな話もしました。

結婚するまで、いえ子どもを望むまで避妊をしてきた方も多いでしょう。
それは思い描くライフプランのためであったかもしれません。
だから、「避妊をせず、排卵日に性交渉を持てばほどなく妊娠するだろう」
それもライフプランの一部でした。

でも、2か月、3ヶ月、半年、1年経っても妊娠しません。

「同級生だったらいいね」と話していた周囲の人たちは、スムーズに妊娠し
既に出産している人もいましたが、私は…。
何で私だけできないの?少しずつ焦る気持ちが出てきました。

今度の排卵は絶対逃したくない、と性交渉にもナーバスになりました。
もっと夫にも積極的になって欲しくて、様々な情報や排卵についても伝えました。
ところが、一緒に頑張ってくれると信じていた夫は「そこまでしなくても」
「自然に任せればいいじゃん」と。
そんな状況でも排卵日に性交渉を持つことも辛かった…。

今まで、愚痴を言ったり弱音を吐けた友人にはもう子どもがいる。
私だけ、みんなと同じじゃない。私だけ滞ってる…。

あれ?私、辛いかもしれない。これが妊活を始めてしばらくした頃の辛さでした。

②人間関係の辛さ

結婚から年数が経過すると、あいさつ代わりに子どもについて聞かれます。
「お子さんは?」「子どもはいいわよ」「子どもを持って1人前」
えぇ、何の悪気もありません。今日の天気でも話すように、聞いてくるのです。
親戚に至っては「子どもの作り方分からないなら教えてやんぞ?」と、
それがイケてる冗談かのように言ってきた人もいます。

「同級生ならいいね」と話した友人達は、ぽつぽつと2人目を妊娠し
周囲で子どもがいない人はどんどん少なくなっていきました。
みんなで集まる時は子どもの参加が前提、話題は子どものことばかりになっていきます。
誰のお世話もないし、話題にもついていけません。

1人だけ、ぽつり。

あれだけ仲が良かった友人といるのが辛くなるなんて、思いもしませんでした。
中には妊活をしていた友達もいましたが、その子が妊娠した時でさえ
喜べない自分にも辛さを感じました。

また、仕事をしながら妊活をしていましたので、上司には相談できていたものの
常に肩身が狭い思いでした。
やりたい仕事には手を挙げられず、突然の遅刻や早退は毎回胃が痛くなりました。
その横では、子ども、キャリア、家、車など私が願っていたライフプランの全てを
手に入れる友人、知人、同僚、後輩が輝いて見えます。

そのうち、周囲から言われ始めました。
「いやあ、子育ても大変だよ。大人2人で優雅なのもいいと思うよ」
「家なんてローンで大変だし、もう家の中もめちゃくちゃだよ」
「夫婦2人、仲がよくて健康ならそれでいいじゃない」

ええ、慰めでしょう。励ましでしょう。
でも、私はみじめでした。
ただただ、感情のない笑顔でやり過ごす辛さを耐えていました。

③妊活を終えた後の辛さ

妊活には、終わりがあります。
子どもを授かる人も、授からない人もいます。

私は、授かった後にはすべてが帳消しになると思っていました。
自分が描いたライフプランに戻れるのだと、やり直せるのだと。

実際は、違いました。
妊娠中は赤ちゃんが元気か常に心配でたまらず、生まれてからも
戻らない体調の中での3時間おきの授乳や
泣くばかりの子どもを前に、心身が疲弊していました。

でも、子どもを授かった時周囲に言われました。
「念願のあかちゃん、幸せだね、嬉しいね」
「せっかく授かったんだから、子育て頑張ってね」
夫は、妊娠中も出産後も生活のリズムさえ変わっていませんでした。

「辛い」とは誰にも言えませんでした。

子どもを授かることなく妊活を終える人もいます。
辛いと思っていた妊活をこのまま終えると決める方が、もっと辛い
そう感じる人も多いと思います。

そして、子どもを授かっても、授からなくても
不妊を思い、振り返ることは辛さを伴うこともあります。

不妊の辛さを経験して伝えたいこと

不妊で多くの「辛さ」を経験しました。
辛さには個人差もあり、感じ方も違いますが、
子どもを願って努力してもなかなか思うとおりにならない、という辛さは
同じなのではないかな、と思います。

そんな私からから伝えたいことは…。

辛いと言える場所を見つけよう。

辛さに蓋をして閉じ込めて置いたり、1人で解決しようとしないでください。
「辛い」と弱音を吐くことは、何かに負けることでも、悪でもありません。
弱音を吐ける人、場所を見つけることはとても大切なことです。

不妊の辛さは、とてもプライベートなことですから
恋愛や仕事の悩みのように、友人やパートナーにも
いえ、近い存在だからこそ言えないこともあるかもしれません。

敷居は高いかもしれませんが、
何のしがらみもない第三者だからこそ話せることもあります。

安全に、そして安心して
「辛い」という気持ちを吐き出せる場所を見つけてみてください。
ポイントは、
・気持ち(辛さ)を理解してくれる
・気持ちを否定しないで聴いてくれる
・個人的な価値観を押し付けない
だと思います。

その場合には、
小倉から案内のあった生殖心理カウンセラーも選択肢ですし
もっと気軽に話したい、ということであれば
ピア・カウンセリングも選択肢でしょう。(リンク参照)

もちろん、ガーベラ不妊相談室もお気軽に活用ください!

ピアの岡田から生殖心理士の小倉に引き継ぐことも、その逆も可能です。
ご自身が話しやすい、効果を感じるなどの相性も大切になると思います。

頑張っているからこそ辛い

妊活が思うように進まない時、
「頑張りが足りないんじゃないか」
「こんなことで辛いなんて言っているから赤ちゃんが来てくれないんじゃないか」
そんな風に感じることもあるかもしれません。

自己肯定感が下がってしまい、自分をダメな人間と感じてしまうこともあるかもしれません。
でも、不妊が辛いのは、
「自分で思うよりもずっとずっと、赤ちゃんを願って、そのために努力して、
頑張ってきたから、頑張っているから」です。

頑張っている自分を、どうか認めてあげてください。
何よりもご自身を大切に扱ってください。

大切なのは

ポジティブな時間も、ネガティブな時間も、共に必要で大切な時間です。
辛い時はとことん泣いて落ち込んでいいんです。
その時間があるからこそ、また前向きになれる時が来るのです。

妊活で過ごす時間も、大切な人生の時間です。
同じように、自分自身や夫婦の時間も大切な人生の時間です。
どちらの時間も、大切にされてくださいね。

辛いけど、やっぱり周囲には話せないし
カウンセリングへの一歩も今は躊躇する…。

そんな時に、読んでみてほしい本をご紹介しておきます。(リンク参照)
私の恩師の1人平山史朗先生の書いた本です。
私は、どのページも心に響きました。治療中に読んでいたら、
もう少し自分に優しくしながら取り組めたかな、と感じました。
よかったら手に取ってみてください。

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