カウンセリングの事例:不妊治療の辞め時
今回は最近多い不妊治療のやめどきについての
カウンセリングをご紹介します。
クライエント(以下ク)女性42歳。治療歴5年、体外受精3年目。
ク「体外受精はもう7回やってます。移植はもっとかな。最初はすぐに妊娠する、と思っていたのに、全然妊娠しなくて、最近はもう妊娠しないよね、と思いながら採卵しているので、これで妊娠するはずはないよね、と自虐的になったり。でも、やめたら子供のいない人生が決定するので、それも怖いし・・・。年齢を考えるともう無理だと頭でわかっていても可能性がゼロでない限り、もしかすると、と思って続けています。みなさん、どうやってやめることを決めるんですか?」
カウンセラー(カ)「治療を終えることを考えているのですね?」
ク「そう、ですね・・・。終わらせないといけない、って感じですかね。お金もかかりますし・・・」
カ「終えたくないけど、経済的なことを考えるといつまでも続けられない、ということですか?」
ク「う~ん、正直、お金はなんとかなるとは思ってます。ただ主人はいつまでも保証もないものにお金を使えないよ、っていうんですよね。かといって、もうやめたら、とも言わないんですよ。君が決めたらいいって。」
カ「う~ん、それはご自身にとっては難しいですよね。不妊治療は夫婦で取り組むことなので、一見妻に判断を任せるのは優しい夫、と思いがちですが、本来は二人で話し合って、お互いの意見を尊重しながら妥協しながら決断しないと決めることが負担になります。ご夫婦での話し合いはどんな感じですか?」
ク「話し合っていると思ってましたが、今言われたように、お互いの意見交換って感じではないかも。私が一方的に話して、それでいいんじゃない?って感じで・・・。協力してくれていると思っていたけど、独り相撲していたのかも・・・」
カ「治療はいつか終えるときが来ると思いますが、不妊に終わりはありません。不妊を経験したことは治療終結後もご夫婦が一緒につきあわないといけないことになります。その時にご夫婦の関係、とくに意思疎通、コミュニケーションは大事です。コミュニケーションがうまくできているご夫婦ほど、不妊とうまくつきあっていけます。具体的にご主人とはどんな会話をしますか?」
治療終結についてのご相談ですが、
ご夫婦の関係に話が展開しているケースです。
治療をやめるという決断はとても大きな決断なので、
一人で決めるには負担が大きいと思います。
その際に、ご夫婦で決められるかどうかを
カウンセリングでは確認します。
意思疎通が難しそうなご夫婦にはうまくできるような
提案もしていきます。
上記とは違って、もっと本質的な、
子供のいない人生を受け入れるためのカウンセリングもあります。
治療の終結は個人でも違うし夫婦でも違います。
でも共通のポイントは
自分にとっての生殖物語(子供が欲しい理由)は何か、
不妊であることは夫婦の関係性の問題であることの認識、
です。
治療のやめどきを考えるのは辛い部分もありますが、
タイミングを逃すともっと辛くなることもあります。
ご自身のタイミングを逃さないようにできれば、と思います。